今まで話してこなかった、SAISONを立ち上げた本当の理由

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起業の理由なんて、ハツラツとした元気なものでいいのだ。社会問題に絡めて思っていることを書いて、決して核心ではないけれど思ってはいる。

それくらいがちょうどいいのだ、と思っていた。

SAISONを立ち上げて1年半。そろそろ本当のことを書いていこうと思う。

暗い話です。オブラートに包むという概念を捨てて書きます。

一応、未来に希望を感じられるように締め括ることを目標に書きはじめますがそううまくいくかどうか。

だから結論だけ先に言います。

大切な人がただ生きるという権利を守りたくて立ち上げた。です。

さあ暗い話の始まりです。とくとご覧あれ。

僕は多くの人が知っての通りトランスジェンダー当事者で、知らない人のために書くと元々は女性として生まれてきてなんやかんやで男性の戸籍を手に入れて現在は男性として生きている人間です。

東京の八王子というところでのほほんと誕生した僕は、小学生の時に人を信用することを辞め、中学生の時に絶望とはこれかということを知り、高校生の時に自死を選択しかけ、社会人になってから鬱状態を経験しました。

鬱状態、というのは恐ろしいもので未だに何の前触れもなく「死にたい」「自分なんて存在価値がない」「生きてるだけで迷惑」「全方位に謝罪」という感情に覆い尽くされるという後遺症があります。

ちょっと明るい話もするとホルンと櫻坂46が好きです。

そんな僕ですが、専門学生の頃にStartline. net(スタートラインドットネット)という任意団体を立ち上げました。

セクシュアルマイノリティ当事者が福祉サービスを利用するときに嫌な思いをして欲しくない、最期まで幸せでいてほしいというのが僕の願いで、それは今も変わっていません。

この団体を立ち上げたきっかけは、ある友人でした。

友人といっても、SNSで繋がっていた本名も住んでる場所も知らないトランスジェンダー当事者。彼も福祉を学んでいて意気投合し、将来は一緒に施設を建てようと夢を語り合っていました。

その彼は、あっさり死にました。自殺でした。

差別を受け、理解がないことに苦しみ、未来に絶望し、自分自身を殺してしまいました。

僕は彼との夢を現実にするために団体を立ち上げ、日が経つと講演の機会をいただき、いろんな場所で話をさせてもらえるようになりました。

講演中皆さんは真剣な表情で話を聞いてくれていました。

ここにいる人たちは味方だ。そう思っていた僕に、講演後に降りかかってきた言葉は

・親に健康に産んでもらったのに傷をつけるなんて親不孝

・人間は子を産み育てるためにいる。君みたいな人は生産性がないから〜、

・日本の制度が嫌なら出ていけばいい(同性婚について)

・男には見えないからもっと努力しないと社会からは認められない

というものでした。

昔、性別を変えられることを知り調べていた時

「結婚も子供を産むことも自分でできなくする、親不孝かもしれない」と悩んでいましたがやっぱり僕は親不孝で、存在価値のない人間なんだと思わせられる言葉を何人もの人に言われました。

こんなこと、発信するだけで誰かが悩んじゃうと思って今まで言わなかったけどね。

自分の存在を自分で否定する。社会から否定される。

自分は生きていちゃだめなんだと、本気でそう考えていた時に起きた相模原の障害者施設で殺人事件。

犯人はそこで暮らしていた人たちのことを勝手に「生きてる意味がない」と決めつけ、殺しました。

生きている意味がない、存在価値がない。

その言葉は、自分に投げかけられているように感じました。

なんで、そんな思いをしなきゃいけないんだろう。

僕はただ、生きていたいだけで。

特別な権利を主張するわけでもなければ、とんでもなく困難なことを押し通そうとしているわけでもない。

ただ、楽しく生きて満足して死ねる。それができればいいだけなのに、なんで赤の他人に、自分の人生を否定されなければならないのか。

なんで相模原の施設にいた人たちが、理不尽に殺されなければならなかったのか。

それを考えた時、亡くなった友人の言葉を思い出しました。

「自分らしく生きている。ただ生きている。それだけでいいのにね。」

そう、それだけでいいんですよ。

誰かに認められたり、誰かに許されたり、人権ってそういうもんじゃない。

ただ生きている。その権利が人権で、それを守るのが社会の役割で。

僕はそれを守りたかったんです。

僕の周りにはたくさんの障害者もLGBTQ当事者もいます。

みんな、それなりにいい人で、それなりに意地汚くて、思いっきり人間らしい。

車椅子を押してもらえないと動けない人もいます。

誰かにご飯を食べさせてもらわないといけない人もいます。

24時間ケアが必要な人もいます。

同性愛者もトランスジェンダーもいます。

両性愛者も無性愛者もXジェンダーもいます。

人とは違うのかもしれないけど、みんなこの世界で生きている。ただそれだけなんです。認めとか許すとか賛成とか反対とか。そういう次元じゃなくね。

その人たちが笑って生きていてほしい。

だから事業所を立ち上げることで、人材不足を解消、就労問題の解決、生きる上で最低限のものを保証できる人になりたかった。

「生きていること」を、守りたい。

だから僕はSAISONを立ち上げました。

まだまだです。まだまだ全然誰かを守れるなんて言えないから。

これからも頑張ります。

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