障害児の性に関する自己決定とお母様の葛藤。

astronaut standing alone Uncategorized
Photo by Tom Leishman on Pexels.com

僕は普段、重度障害を持つ方を相手に仕事をしていますが、中にはもちろん18歳未満の利用者さんもいます。

今回は、利用者さんのお母様から相談されたお子さんの性成長に関することと、障害児の性の自己決定に関する僕の失敗談を書いてみたいと思います。

夢精と陰部の傷。

「ちょっと相談したいことがあるのですが、」と声をかけられたのはその日のケアが終わる数分前。利用日数や時間についての相談だと思いながら話を聞くと

「たまに朝のトイレの時にパットの中に精液が付着している、これは放っておいていいものなのか。それとも男の子なら普通なのかしら…。」と聞かれました。

まずお母様、ごめんなさい。我経験ないからわからん…。

と思いながら夢精というものもあるし、17歳という年頃から考えても特段異常ではないと思うとお伝えしました。頻度が多かったり出血が混じるようであれば、それは受診した方がいいと思いますよ、とも。

それから数ヶ月後、いつも通り入浴介助をしているとその日は頻繁に陰部周辺を掻いていると感じました。小さな傷もできており、皮膚トラブルや痒みが強いのかと思ってアズノールを塗って対処しましたが、帰り道にふと「マスターベーションのようなものなのか…?」と考え、インターネットで調べました。

しかし、障害児の性行動に関する記事はほとんどなく参考になるものは見つかりませんでした。

傷を見てもらいに皮膚科へ。

一週間後のケア終わりに「明日皮膚科へ行ってきます。」と言われました。

陰部の傷につけていたアズノールがなくなったので処方してもらうためと、他に原因(皮膚トラブル)がないか聞こうと思って。と。

その際に「もし皮膚トラブルがなかった場合、夢精について話したほうがいいのかな。」と聞かれました。僕は「それも大事なことだと思います。もし何かアドバイスがあったら僕にも教えてください」と伝えその日は終わりました。

そして2日後の入浴介助前に、お母様から「目立った皮膚トラブルはなかったです。もしかしたらオムツが痒いのかもしれないし、性行動の可能性もあると言われました。性行動の場合無理に抑制するより、ちゃんと爪を切って傷つけないようにしておくのが大切と言われました。」と報告を受けました。

お母様の葛藤と僕の失敗。

それから時々、お母様から悩みを話してくださるようになりました。

お父さんがいない、という家庭環境で障害を持った男児を育てる難しさ。

学校のお友達のお母さんの中であまりそういう話をできないこと。

自分の子供だから、射精ケアをするのにはやはり抵抗があること。

その悩みは、僕にとっても新たな課題になりました。

特に「性介助や射精ケアについても調べたけど、本人がそれを望んでいるのかがわからない」という話をされた時には、誰かが射精ケアをすれば解決するのではと、本人の気持ちを無視していた自分の浅はかさを痛感しました。

結果としては、親戚の方が射精ケアに協力をしてくれることになったそうで「定期的にとか決めずに、頻繁に弄ることが増えたら頼む、ということになりました。」とのことでした。

トイレに連れて行く時や、入浴介助をした時に弄ることが増えたら報告してください、と。

障害児と性教育について考えること。

性の問題や課題って、話す場所が少ないなと思います。僕ですら学校できちんと性教育を学んだかと言われれば、あまり記憶にはありません。

それが障害児となれば尚更「性教育」や「性行動についての話」はされにくくなってしまうと思います。

でも、性の問題ってすごく大切なことだと思います。自分や自分以外の人の身体を大切にし、被害者にも加害者にもならないためにも、プライベートゾーンや性行動の話をするのは大事なことです。

今はまだ明確な答えがあるわけでもないですし、どうするのが正解なのかもわかりません。

僕にできるのは、今後もご家族や利用者さんから性の悩みについて相談された際に、タブーだからとかわからないからと逃げることなく、大切な問題として向き合うことだと思います。

コメント